王国事件のアレ。ぬるいグロ。バッドエンドかもしれない

























「なあ樺地」


薄曇りの夜に。



「俺は、とても寛容な人間だ」


電気を消して、大人たちには寝ているように見せかけて。



「一度や二度、ミスをした人間を責めたりはしない」


しかし電気を消したもう一人の部屋の主は、ここには居ない。



「間違いは誰にだってあることだ。そうだろ?」


青い瞳が、僅かな月明かりできらりと光る。


語り掛けられる大きな彼は、俯いたまま、その光を見ようとはしない。



「だがこれは、そういう話じゃねえ…よな?」


彼の持つものも、きらりと光る。


雲がまた、月を隠した。














「すっかり遅なってしもうたのう…」

ぱたんぱたんとスリッパで小さな音を立てながら、冷えきった廊下を歩く。

タマゴ頭との打ち合わせが、予定より大分長引いてしまった。


「寒……」

背を丸め、角を曲がった瞬間、足が止まった。

…何か、嫌な予感がする。


ゆっくり静かに歩みを進め、もう一つ、角を曲がった瞬間。廊下の向こうに何か見えた。

誰かいる。



「よう、遅かったな」

よく見えないが、声からして跡部。

水っぽい音がする。


「…ちょっと長引いてしもうての。お前さんこそ、何の用じゃ」

近づくにつれ、輪郭がはっきりしてくる。


「悪いな。こいつは、返してもらったぜ」

「な…」

異臭に足が止まる。


「じゃあな、いい夢を」

ずり、と音がして、やつは自分の部屋の方へと帰って行く。


暗くてよく見えなかったが、恐らく、最愛の幼馴染み――だったモノを、右手と左手に、それぞれ引き摺って。

振り向きながら微笑んだ瞬間、窓から差し込む月明かりで、瞳だけがきらりと光った。






























負け組みんなが、樺地を守るために一緒に居たんだったらどうしようね。

2012.3.3