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「ししろ、聞いて来てよ」
「何で俺が…!」
「え?会員だからに決まってるじゃない」
「なった覚えはねーっつってんだろうが!!」
「覚えが無くてもなってるんだからしょうがないでしょう。諦めなさいよ」
「何で自分の自由を諦めなきゃならねえんだよ!!」
「会員だからに決まってるじゃない。あんたバカァ?」
「だぁぁあ!むかつく!!」
「諦めぇや、ししろ。ほらチロルチョコやるわ」
「てめぇまでどさくさでししろって言うな!そんな明らかにポケット入れっぱなしで溶けてはみ出て来てるチロルなんかいらねぇよ!!」
「溶けてないチロルは?」
「いらねぇ!!!」
「美味しいのにねー」
「なー」
何を聞くのか。
と言えば、それはずばり跡部は樺地くんを好きなのか。
問い方を変えるなら、跡部に好きな人が居るかどうか。
今までの言動からして、跡部は樺地くんを好きなんだろうという事は限りなく確信に近い。けれどそれは100%ではない。
だから思い切って本人に確かめてみてほしいんだけど、ししろがなかなか乗ってくれなくて困っている。
私と眼鏡は跡部に警戒されてしまってるから、ししろに行ってもらいたいんだけどなあ…
「お願いししろ、うちの水道水奢ってあげるから」
「激いらねぇ!!つーかそれ奢りじゃねえだろ!!」
「大丈夫、ししろが飲んだ分はちゃんとお小遣いから親に払っとくよ」
「知らねぇよ!!」
「しゃあないなあ…ほな、缶ジュース二本でどない?」
「……きちんと俺にどのジュースか選ばせてくれるなら考える」
「あときなこもちチロルも…じゃ、奮発して五つ!あげるよ。溶けてないよ」
「…ああ」
「きなこもちは邪道やで●●さん!」
「そんなこと言ったら商品開発の人達に失礼でしょ」
飲食物に釣られた育ち盛りししろ。お菓子を餌に誘拐とかされないか少し不安だ。
「ほな、よろしく頼むわ」
「ししろ号発進!」
「何だよししろ号って!…ったく、後で一番高いジュース買わせてやる…」
何だか可愛らしいことを呟きながら(缶ジュースなんてどれも値段変わらないと思うよ)ししろはざわつく教室へと入って行く。
教室移動も無い短い休み時間、跡部大明神は片肘をついて読書中。腹立たしいほど絵になっている。
「どうかな」
「うわ、ごっつ睨まれてるで宍戸」
私と眼鏡は教室のドアから跡部とししろの様子を覗いている。教室に出入りする人達が私達を邪魔そうに見やっては通って行く。
ししろが口を動かしているのが見えるが、声は聞こえない。距離があるからというのもあるけど、多分内容が内容だから声量を落としてるんだろう。
ガッターーーーーン!!!
「!!?」
「何!?」
突然の大きな音に驚き、教室中の人達も音の発信源である跡部に注目する。
…そんな、たくさんの注目を集めている中。
「俺様がかっかかかかかばじをすす好きなわけがあるか馬鹿野郎!!バーカ!!失せろ!!」
いつものねちっこい喋り方じゃなく、フルに張り上げた声で、わざわざ。
これはこれでまた色っぽい気もするがそれは今はどうでもいい。
「…そうか。悪かったな」
「全くだ!早く失せろ!!」
げんなりしたししろがよたよたとこちらへ向かって来る。
教室に居た人達、そして声が聞こえたのであろう廊下の人達、皆の視線はししろへ移り移動し、ししろが向かう先に居る私と眼鏡もその視線達に絡められる。
「…こんなもんでいいか?」
ものっすごく低いトーンでししろは私達に喋り掛けた。目が半分くらいしか開いていない。
「ん、お疲れさん…。…ジュース一本増やしたるわ、な?」
「おう…」
一方跡部はと言うと、こちらも涼しげな青い目が半分くらいしか見えず 涼しいというより冷たーくなってしまっている。
そんな不機嫌MAXな顔で、先程派手な音を立てて後ろに倒した椅子を起こし、その際に吹っ飛んだ本を拾いに黒板前へ歩み寄る。不運にも豪速で飛んだその本が当たったのか、男子が一人倒れている。
その男子には目もくれず、本を拾った跡部は自席に戻り優雅な読書タイムを再開した。
「…俺、樺地なんて単語、ひとっつも出してねえのにな…」
「え、そうなの?」
「好きな奴とかいるのかって訊いただけだぜ…」
「わざわざ誰かまで教えてくれたわけやな…分かりやすいなー」
今だ視線のただ中にある私達は極力声を抑えて喋る。
「でもこれではっきりしたね」
「…一応本人は否定しとるけどな」
「ほら。なんか跡部が可哀相になってきたでしょ?一緒に応援してあげようよししろ」
「まあ…可哀相だとは思ったけどな…」
跡部の情けない姿を見せよう作戦はししろに結構効くみたいだ。
何だかんだで困ってる人は放っとけないタイプみたいだし、やっぱり自分達のリーダーがあんななのは許せないんだろう。
「恋煩いは全てのものに支障を与えるんやで…はよ取り除いてやらないかんやろ?」
「…綺麗さっぱり恋を打ち砕くっていうのはナシか?」
「そんなことしたらあんたが跡部に打ち砕かれるわよ。
物理的に
」
「怖っ!!スプラッタやん!!……この前ジローがスプラッピスプラッタって歌っとったな…幼児番組にそんな歌詞あらへんて」
「例のスプーならアリなんじゃない?」
「あーあれはあかん…R指定や」
「悪い、一切分からねぇ」
「…なあ、●●さん」
「ん?」
「あれ逆さまやんな」
眼鏡が指差す先は、跡部…の本。
…確かに逆さまだ。
「気付いてないのかな…それどころじゃないのかな」
「動揺押さえ込んどる感じやな」
「恋煩いは本を逆さにしてしまうのよ、ししろ」
「俺に振るな」
あんまりにも話が進まないので投げ出した物です\(^o^)/
内容が無いわりに結構長いので貧乏精神で載せてみました。
10日目になるはずだったのか?
まあ、本編外でこんなこともあったということで…
2008.12.14