時計の短針が、2の丁度真ん中を指した。
数時間前まで騒がしかった隣の部屋も、もう皆寝てしまったのか、今はしんと静まりかえっている。
別に、いつもと変わらない夜だ。
小さな目覚まし時計とにらみ合いを始めて二時間が経つ。
秒針だけがカチカチと小さな音を立てている。
この時計がスイープセコンドでなかったのは、良かったのか悪かったのか。
そう、いつもと変わらない夜だ。
何も。
あいつがいない夜なんて、お陰様で何週間も過ごしてきた。
何も変わらない。
何も。
俺を称賛する奴らに紛れて、誰かが俺を気の毒そうに見ていたのも、きっと、気のせいだ。
俺がもっとしっかりしていれば、あいつはあんなことにはならなかったんだ、なんて
考えたって
俺がちゃんとしてれば、何もなかったんだ。
そう、何も。
あいつが身を呈して、俺を庇うことだって
なかったんだ
誰かの寝返りで意識が引き戻される。
こんなんじゃ明日に響く。
溜め息をついて頭を振り、布団を被った。
――――負けるわけにはいかないんだ、明日からだって。絶対に。
2012.6.8