ざあざあと音を立て、水滴が窓を叩く。
土日はお出かけ日和になりそうです、なんてよく言ったものだ。
思い返した数日前の天気予報に悪態をつき、テレビのリモコンを握った。

雨は好きだ。
特に土日の雨なんて最高だ。
無駄な眩しさや暑苦しさに叩き起こされることもなく、もっと出掛けろというおかんの怒声も響かない。
のんびり眠れるたまの休日を最高に盛り立ててくれる。


…そう思っていた。
数年前までは。


ごろりと横になってリモコンをいじり、テレビのチャンネルを変える。
この時間、あまり面白い番組はない。
適当に合わせた番組では、くだらない話をしながら料理などしている。
これならご家庭でもできますねーなんて言っているが、そんな材料、近所のスーパーには置いてない。
大きな欠伸をしながら、何か暇潰しはないものか、と部屋の中を一瞥する。

ちらりと視界に入ったそれを、本で隠した。


──毎週土日には鳴るはずの携帯が、今日は鳴らない。
それに苛立っている自分に気付き、更に苛立ちが募る。
苛立つくらいなら自分から何か行動を起こせばいいと、そんなことは分かっている。
…分かってはいるのだが。


雨なんて降らなければいいのに。


こんなことなら、もっとゆっくり寝ていたかった。
どうして目が覚めてしまったんだ。

画面に映る司会者の適当な笑顔が妙に腹立たしくてテレビを消した。
しんとした部屋に雨音が響く。
大きな溜め息とともにベッドに沈んだ瞬間、玄関のチャイムが鳴った。


まさか。
…そんな、まさか。


頭を過ぎった期待を鼻で笑いながら、ドアを開ける。
すると、半透明のビニールから覗く、赤。


「……何しに来たん?」
「うっわ何それ!ひどくねぇ!?」
「あーいやいや、そういう意味やなくて」
うっかり漏れ出た言葉に、乗り出して怒る小さな体。
この雨の中を歩いて来たのか、傘を差しているとはいえ濡れている。

「どないしたん、急に」
「遊びに来てやったんじゃねーかよ。どうせ暇だろ?」
「まあ…暇やけど。電話くれたらよかったのに。ほんま何もないで、今。部屋汚いし」
「別に暇潰せりゃいいし。今日雨だし、わざわざ確認しなくたってどうせ居るだろーと思って」
「…はあ」
それでもし居なかったらどうするつもりだったんだ、と訊くのはやめて、箪笥を開けてタオルを探す。

「拭いとき。風邪ひくで」
「おー、サンキュ」
我がもの顔で上がり込む後ろ姿に、白いタオルを放り投げる。
それを見事にキャッチしたのを見届けて、台所へお茶を汲みに行く。
今は生憎、あまり好きではないと言っていた緑茶しかないが、連絡もなしに来られたのだから文句を言われる筋合いはない。
透明なコップに黄茶色が満ちていく。


雨音はもう、何かねーのかよと騒ぐその声に掻き消されてしまった。
ドアを開ければきっと、陽光のような笑顔が勝手に寛いでいるのだ。
















引きこもり気味の忍足。

2009.4.15