注意
跡部→樺地→女子 なお話。
跡部さんがとてもひどい人。
「どうだった」
答えなんて知っている。
弱々しく首を横に振るそいつを見て、そうか、と応える。
答えなんて知っていた。
何故なら、その答えを作ったのは
「残念だったな」
いつからだろう、こんなにもさらりと、思ってもいないことを口に出来るようになったのは。
「ウス」
そんな俺の胸中も知らず、そいつはただ純粋に頷く。
生まれて初めて告白して、先程玉砕したばかりのその男は 俺の隣に座って床を見つめていた。
隣で俯いたままのでかい頭を横目で見ながら、また作り上げた台詞を吐く。
「お前はいい男だぜ。この俺様が保証する。見る目が無かったんだな、あいつは」
「……」
瞳は潤んで揺れ、唇は固く閉じられたまま。
あんな奴のために
「また、他にいい奴見つけるんだな。あんまり落ち込むなよ」
ここに居るだろ、
よく見ろよ
隣から鼻をすする音と、小さな相槌が返って来たのを聞き届けてから立ち上がる。
「帰ろうぜ」
「ウス」
もうこれ以上 上に昇れないのなら、せめて誰も俺を追い抜かないように
俺よりも上に昇って行けないように
「今晩、ゆっくり休めよ」
「ウス」
わざわざ俺なんかに言ったお前が悪いんだ
知ってるか?
世の中のありとあらゆるどんなストーリーも、全ては金で作っちまえるんだぜ。
お前の見る背中には、思いが滲み出さないように。
お前の見るこの肩が、震えないように。
──一緒に泣いてやれなくて、ごめんな
そっと、ぽつりと、雫が足元に落ちた。
泣いてるのは、お前に同情してるわけじゃない
a wayでaway。
2008.2.22