注意

ほんの少ーしですがオリジナル要素(樺地家の人々)があるので、苦手な方はご注意下さい。










清々しい朝がやって来た。
いつものように家まで迎えに来た樺地は、開口一番「お誕生日、おめでとうございます」と言った。
日付が変わって一番に祝いのメールを寄越したのは何故か宍戸で、しかも何故かこいつからのメールは来なかったがそんな事はどうでも良くなるほどに爽やかで甘い声だった。
だが一応訊ねてみれば、どうやら俺様が寝ていたら悪いからという理由でメールはしなかったらしい。
可愛らしい心遣いじゃねーの。結局二時半まで正座したまま携帯が鳴るのを待ってた眠気も吹き飛ぶってもんだぜ!ファーッハッハッハ!!

跡部景吾は浮かれていた。
十五になるその日、朝も早いというのに高笑いはいつもより高く大きく。




「あとべーお誕生日おめでとー!」
「お、ジローか。ありがとよ」
学園の門を通り抜ける瞬間、後ろから走ってきたらしい慈郎がバンと背中を叩いた。
「かばじおはよう!」
「ウス」
「いつも遅刻して来るくせに今日は早いじゃねぇか、アーン?」
「だって今日あとべん家でパーティーっしょ!?今日はいい子にしてる!!」
「あー…それだが「今日は…って何やねんジロー」
「よージロー、樺地。跡部誕生日おめでとな!今日は何時集合?」
そこへ現われたのは忍足と岳人。
「おう。でもな、悪いが今日は「お、なんかいっぱい居るな」
「お早ようございます皆さん!跡部さんお誕生日おめでとうございます!」
次いで宍戸と(恐らく偶然会ったふりをして宍戸と登校した)鳳。
「おう、で、ジローに岳人、今日は「あれ、全員揃ってるねー。今日のディナーは?跡部」
「おはようございます。…たまには和食も用意してもらえませんか」
更に滝、そして日吉。(こいつらは多分本当に偶然会ったのだろう)

ックソ、どいつもこいつも邪魔しやがって!!
「うるせぇ!いいか!今日は「おはよう、皆」
「あ、おはようございます!」
「どうも」
「っ、榊監督……。おはようございます。それでだ!お前ら!今日は
キーンコーンカーンコーン……
「っとやべぇ!行こうぜ!」
「そうだな」


「…………」
…まあいい、言う機会はまだいくらでもある。
ああしかし何だって家で誕生日パーティーをしていたんだ去年までの俺様!!すっかり恒例化しちまってるじゃねえか!
せっかく樺地に料理作るように言い付けて、権限あれこれで今日の部活をぶっ潰して、両親含めた家の者達を説得してパーティーを取り止めて外出許可を得たんだ。
今年は…今日は…今日こそは、樺地とその親御さんと妹と祝えるってのに!見合いみたいなものじゃねーか!!邪魔されてたまるか!!

…いや、今まで散々遊びに行って親にも会ってるんだから見合いも何もねーだろ。
と、心が読めさえすれば宍戸あたりがツッコんだはずだが、生憎宍戸はインサイト未習得である。




休み時間。
俺様は携帯(もちろん常に最新機種)を取り出し、朝会ったいつもの奴らにメールを打っていた。

To:芥川慈郎
To:鳳長太郎
To:忍足侑士
To:宍戸亮
To:滝萩之介
To:日吉若
To:向日岳人
Subject:

今日は俺様の家でのパーティーは行なわない。
各自自宅で俺様を崇め奉るように。


…ああ、崇という字すら愛しく思えてくるぜ…
などとくだらない事を考えながら(俺様とした事が!)送信ボタンを押した。
よし。これで邪魔者は消えた。

ふんぞり返りハミング(曲目:KA・BA・JI)する跡部の頭の中は、放課後に控えるめくるめく誕生祝い兼お見合いプランでいっぱいになっていた。
クラスメイトが変な目で見ているとか、跡部の鼻歌にこっそり「ウス」と合いの手を入れているとか、そんな事には一切気が付かないほどに。




放課後。
帰ろうと教室を出た跡部(と、先に終わって待っていた樺地)は五歩も歩かぬ間に 前方から現れた岳人に質問を投げ掛けられた。
「あ、跡部ー、今日何時?結局朝聞きそびれたけど」
「アーン?メールしただろ、見てないのか。今日は「メール?来てねーぞ?」
岳人はそう言いポケットから携帯をひっぱり出した。
「……?確かに送ったはずだが」
「問い合わせも0件だぜー」
「? 樺地、携帯出せ」
「ウス」
樺地は頷くと跡部の鞄を肩から下ろして開け、中にあった携帯をいじる。
それを覗き込む跡部と岳人。
「…保存フォルダに、入って…ます」
「!!」
「マジかよ、跡部ダッセー!」
ギャハハと笑う岳人を無言で絞め、跡部は改めてメールを送信し直した。

「……チッ…あぁ、だがこれでやっと…」
そう呟いた瞬間、まだ跡部の手の上にあった携帯が震えた。
「アーン?宍戸か」
…また宍戸か。
打つの早ぇな…ったく、んな事やってねーで英単語の一つでも覚えたらどうなんだ。

From:宍戸亮
Subject:

何で?


三文字かよ。
つーかいちいち訊くんじゃねぇよ俺様は今すぐ樺地の家へ行きてーんだ一分一秒一瞬でさえ惜しいっていうのに!!

To:宍戸亮
Subject:Re:
予定がある

送信。

「…よし樺地、行
受信。
「…………!!!」
イライラしながらボタンを押すと、また宍戸からだった。
呪ってやる。毎晩三十回ベッドから落ちろ毎日タンスの角に足の小指をぶつけろ。

From:宍戸亮
Subject:Re:Re:
何の?

三 文 字。
呪ってやる椅子に画鋲置かれろ毎朝起きる度に頭のてっぺんだけロン毛になれ臍が二つになっちまえ!!
…ああ、しかし下手に場所を教えると押し掛けて来そうだなこいつら。それだけは阻止しなければならねえ。

To:宍戸亮
Subject:Re:Re:Re:
親戚の家にお招き頂いた

送信。
「…………」
「…………」
…よし、宍戸は納得したみたいだな。

「行くぞ樺地」
「ウス」
携帯をポケットに入れ、そう言って二人で歩き出そうとすると 廊下に倒れ伏す岳人を鬼のような形相で拾い上げに来た忍足と目が合った。
「あ、跡部。メール見たでー」
「そうか」
「何でなん?って訊きに来たんやけど、岳人拾たからもうええわ。ほな!」
「…おう、捕まらない程度にな」
今まで見た事もないような満面の笑顔を向け、岳人を抱えて忍足は走り去った。
…………悪いな、岳人。背に腹はかえられねぇ。恨むなら俺様を嘲笑した自分自身を恨め。
そっと十字を切り、再び歩き出そうとするとまた携帯が震えた。
また宍戸か?と思ったが、今度は日吉だった。

From:日吉若
Subject:
何故ですか?今まで無理矢理参加させられていた身としては、理由をはっきり述べて貰わないと納得がいきません。

…嫌だったなら無くなって素直に喜べばいいだろうが!こいつの思考パターンはよく分からねえ…。

To:日吉若
Subject:Re:
親戚の家に招かれたからそちらへ行く事になった

送信。
ったく、今日は邪魔が入ってばかりだ…!壮大で完全なる俺様のプランが縮小されてっちまうじゃねーかよ!
「悪いな。今度こそ行くぞ、樺地」
「ウス」



ああ、もう誰も来るな。俺様に構うな樺地以外。
そう念じながら歩いていたが、願い叶わず玄関にはジローが居た。
「あ!あとべー!!待ってたC〜!」
「ジロー。メール見たか?」
「ん?あ、今日携帯持ってねーんだ〜!家に忘れちった!!」
「そうか。…悪い、今日はパーティーはやらねえんだ」
「…?え?なんで?」
ああクソッ、そんな目でこっちを見るな!
しかしここは俺様の将来、人生に関わってくる。心を鬼にしてきっぱりはっきりと告げなきゃいけねぇ…
「親戚の家にご招待されてな。そっちに行くんだ」
「えーじゃあ俺も!」
「バカ、無茶言うな。パーティーならそのうちまたやってやるから」
「…そっか〜。楽しみにしてたんだけどなあ…」
ッ……!!真実でないだけに余計に心が痛む…!
「悪い、ま、また今度な」
「うん…分かった、楽しみにしてる!」
そう言って手を振るとジローは走り去った。
悪いな…今度パーティーやる時はお前の好物山ほど並べてやるからな。

来週あたりにやるか、と考える跡部の後ろで樺地が口を開いた。
「…跡部…さん」
「ん?どうした樺地」
「…親戚の…お家に、行かれるん…ですか?」
こいつ信じてやがる!!
どこまで純粋なんだお前は…!誰かに騙されて誘拐されるぞ!!俺様が守ってやるがな!

むしろお前が誘拐しねーか心配だよ。
と、心が読めさえすれば岳人あたりがツッコんだはずだが、生憎岳人もインサイト未習得である。

「バーカ、嘘だよあんなもん。本当の事言ったらあいつら多分押し掛けて来るだろ。そうなったらお前が大変じゃねーか」
「あ…ありがとう、ございます…。………忘れられてなくて、良かった、です」
!!!!
マイベスト樺地メモリーNo.12387に登録だ、今の顔と台詞!!
「忘れるわけがあるか、バカ」
「…ウス」
「…樺地…」

受信。
何だちくしょう今ちょっと甘い空気だっただろうが誰だこの野郎毎日転んで廊下の端から端まで滑れそして時々少し階段から落ちろ!!!

From:滝萩之介
Subject:やるねー
樺地と仲良くねーv(эΥю)v

…ば…ばれてやがる…!
…だが、邪魔するつもりは無さそうだな。
呪って悪かった萩之介、頼むから呪い返さないでくれ。勝てる気がしない。

To:滝萩之介
Subject:Re:やるねー
ありがとな、頑張ってくるぜ(£ыЁ)b

送信…と。
「悪いな樺地、邪魔入ってばかりで」
「いえ…皆さん、跡部さんを、お祝い…したかったんだと思うので」
「ハッ、どうだかな。ディナー目当ての奴も結構居ると思うぜ?」
そう言って笑う跡部に釣られ、樺地もそっと微笑んでいたのだが 背を向けていた跡部は知る由も無かった。



「あ、跡部さん、樺地!」
ようやく校門まで辿り着こうかというその時、鳳が現れた。
ったくてめぇもかよ寝る前に十字架外すの忘れて頬に十字架の跡がついちまえそして一週間消えるな!!
「アーン?何だよ」
「いや…何で今日のパーティー中止になったのかなって…明日訊くつもりで居たんですけど」
「なら明日聞きやがれ!じゃあな!!」
「えっ?あ…」
戸惑う鳳を放って俺達は校門をくぐった。
一分一秒でも惜しいんだ俺様は!

そう思った矢先。
「跡部。調子はどうだ?」
監 督 … !!!
何が調子だコラそれ今訊く事かアーン?この中年ポマードが!!
毎日十本皺増えちまえ毎日五回歩いてる途中に靴脱げちまえ毎日猫にハンカチ踏まれちまえ…!!
「… 絶 好 調 で す よ ?」
恐ろしいほど爽やかな声と微笑み。
しかし榊太郎(43)はその裏に隠された呪いの囁きに気付いていないようである。
「そうか。それは良かった。樺地はどうだ?」
「…絶好調…です」
うんうんと頷く榊に、跡部は口元を引きつらせる。

「では俺、急いでいるので。失礼します」
「? 何を急いでいる」
いちいち訊くなこの中年がァア…!!!
「…親戚の家に招かれてまして。では」
「そうか、気を付けて帰れよ。横断歩道は右左右を確認して…と、いつも思うのだが次の左は見なくて良いのだろうか。お前はどう思う、跡部」
「どうでもいいと思います」
「ん?何だ、お前らしくない答えだな。それから誘拐にも気を付けろ、樺地が居るとはいえいつどんな奴が来るか分からない。お前は御曹司だしな。人通りの少ない道は
「うるせぇハゲろ」
「…!?跡部、今何と」
「樺地、行くぞ」
「ウス」
「こら待ちなさい、跡部!!」
なおも追って来ようとする中年ポマードは樺地に投げられ、弧を描き鳳をクッションにして地面に落ちた。
俺様は何も命令していない。この温厚な樺地がいらつくほど空気を読まず長ったらしく喋った監督が悪いんですよ。
監督を見つめる跡部の冷たい瞳は、そう語り掛けていた。




「本当に邪魔ばっかりだったな…今日中に辿り着けないかと思ったぜ」
「…ウス」
紆余曲折を経、二人はようやく樺地家に辿り着いた。
樺地はドアを開けて跡部を通す。
「お邪魔します」
礼儀はしっかりと、何せ俺様の家族となる方々だからな!
「こんにちはー」
「久しぶりだな」
ひょこりと出て来た妹に声を掛けて、靴を脱ぐ。
靴もきちんと揃えねえとな、未来の俺様の妹の前だ。

「…お腹、空いてますか?」
「ん?」
「作り置きしてたぶんなら、すぐ…出せます、けど」
ああ、いつもながらいい心遣いじゃねーの…
今すぐ跡部家に来ても恥ずかしくないレベルだぜ。なあ父様!
「いや、急がないぜ」
「じゃあ…俺の部屋、で」
「待ってたらいいか?」
「ウス」
分かった、と答えて樺地の部屋へ向かう。

…チッ、布団はしっかり片付けてやがるな。横になってついでにちょっと嗅いでやろうと思っ……ハハハこの俺様がそんな事するわけねぇだろうが!!
とりあえず畳に腰を下ろすとポケットに入れていた携帯が震えた。


From:向日岳人
Subject:Re:
たすけ

……………………。
…俺様は、何も見なかった。何も見なかった。
悪いな岳人…

そっと携帯を閉じて立ち上がり、本棚に近付く。
俺様がやった本が一番上の列にまとめて並べられている。
他にはテニスに料理にボトルシップの本。大体どの本も今まで来た時に読んでしまっていて目新しい物はない。
その隣に飾られているボトルシップもまだ前に来た時と同じ数だ。
…退屈だな。 邪魔になっちゃ悪いと思って素直にこっちに来たんだが。
今日に限って宿題もねーし…。
…と言うか料理中の樺地が見たくなってきた。
料理中だぜ?しかも俺様のために。俺様のために。
今すぐ嫁に来いそうだそれがいいぜなあ樺地。
エプロンだろうか…割烹着も妻らしくていいな。

居ても立ってもいられなくなった俺様は、そっと忍び足でキッチンへ向かった。
「これは?」
「それは…まだ…そっちの、あっためて」
「分かった」
チッ、エプロンも何もしてやがらねぇ。ロマンのねぇ奴だぜ!
…だが、妹と並んだ後ろ姿は可愛らしいな。
………妹に妬いたりなんかしてねぇぞ。断じてねぇぞ。

扉の隙間から樺地の姿を覗き見ていると、突然背後から声がした。
「あら、跡部くん」
「!!!」
お、お義母様!!いつの間に!!
「あ…お、お邪魔してます」
「?…あれ、跡部、さん…俺の部屋、行ったんじゃ」
見つかったーー!!
「いや、なんか、気になっちまって…べ、別に急かしてるわけじゃねーから気にすんなよ!」
「そう…ですか……あ、じゃあ、リビングでテレビでも」
「そ、そうだな!そうさせてもらう!」
ばたばたとキッチンの隣のリビングに駆け込み、ソファに座る。
リモコンでテレビのスイッチを入れ、チャンネルをニュース番組に合わせた。

小学生が割れた丸眼鏡を発見したとか、ニュースがいくつか紹介された頃、またポケットの携帯が震えた。
……岳人…か…?

From:榊太郎
Subject:プンプン(`へ´#)=3
明日の朝、生徒指導室に来るように。

…何だ、ハゲろって言ったの根に持ってんのか?俺様の知った事じゃないぜ。ハゲろ。右後頭部からハゲろ。
しかし岳人じゃなくて良かったような、余計心配になったような……いや、気にするのはよそう。
ところで樺地はまだだろうか。キッチンの方を見ようとするも、ここからだと丁度壁が邪魔で様子は伺えない。
さっきから良い匂いがしてるし、腹も減ってきた。
何作ったんだろうな。


それから二十分くらい経っただろうか、番組も変わった頃、ようやく樺地がこちらに顔を出した。
「跡部さん」
「出来たか?」
「ウス」
そうか、とテレビを消してキッチンへ向かうと、テーブルの上は皿だらけになっていた。
高級そうな料理は無いが、種類が多くどれも凝っている。

「すげえな」
「ウス…ありがとうございます」
「…これ、全部今作ったのか?」
「いえ…昨日と、今朝、作っておいたり…準備だけしておいたのが、いくつか」
「そうか。じゃ今朝早かったのか?」
「…いえ…」
「嘘ばっかり!跡部さーん、お兄ちゃん三時に寝て五時に起きたんだよー!」
「!!」
「さ…え、マジかよ」
そんな事わざわざ言わなくていいと慌てて妹を叱る樺地の声。
…三時に寝て五時起きって、二時間しか寝てねーじゃねーかっつーか俺様より遅くまで起きてたのかよ!!
愛じゃねーの…!今すぐ嫁に来やがれ今すぐ跡部崇弘になれ!!幸せにするぜ!!

「…とりあえず、座ってください」
心なしか恥ずかしそうにしている樺地が俺様の傍にある椅子を引く。
それに腰掛けると妹、そして樺地も各々椅子に座った。
「…なあ、そういや親御さん達は?」
「たくさん作るの、大変だろうし…椅子が、足りないから…お婆ちゃんと三人で、外で食べるって」
「そうか。何か気遣わせちまったな」
「気にしないで…ください。跡部さんの誕生日、ですから。跡部さんと食べるの、楽しい…です」
!!!!
マイベスト樺地メモリーNo.12388に登録だ、今の顔と台詞!!
「そそ、そうか。せっかくの料理、冷めちまったら勿体ないし、頂くぜ」
「ウス。どうぞ」
そう言って微笑んだ樺地の顔は、メモリー12389に保存された。




「…………。」
俺様はじっとテーブルを、正しくはその上にある物を見つめていた。
料理だけで十分だってのにボトルシップまで作っていたらしい。
船の上には俺様らしき小さな小さな人形が乗っている。
どうせならお前の人形も乗せとけっつーかむしろお前の人形に乗せ…いや、何でもねぇ。
…つーか今日のためにどれだけ時間掛けたんだあの野郎!天使か!!女神…男神か!?マジで人類!?
と考えているとマナーモードにしたままだった携帯が震えた。


From:樺地崇弘
Subject:
今日はありがとうございました。

……礼を言うのは普通、俺様の方じゃねーのか。まあいいが。

To:樺地崇弘
Subject:Re:
それは俺様の台詞だ。
早く寝ろ。

本当は泊まって行きたかったんだが、あまり寝てなくて疲れてるだろうからと今日は帰って来た。
…睡眠削ってまでプレゼント作ってくれるのは嬉しいんだが、やっぱいまいち分かってねえよな。

二人で居るのが何よりも、一番の。





翌日。

「よく眠れたか?」
「ウス」
「そうか」
跡部さんの事考えてたら眠れませんでしたとか言えねーのかアーン?俺様はなんだか結局二時間しか寝てねーんだぞ!!二日も寝不足だ!俺様の欠伸に酔いな…!

…ん?…あれは…岳人、と忍足じゃねーか?無事で良かった。
…だが、何か…様子が…

「侑士ーvv
「何や?岳人」
「侑士大好き!vv
「ん〜そうかぁ嬉しいな〜」
「侑士はー?俺の事好き??vv

「………何だあれ……」
「………ウス……」

その日、学園では。
岳人が怪しい薬を投与されたとか、脳をいじられたとか、そんな噂がまことしやかに囁かれていた。
















あれ、オチが忍岳じゃないか。気にしない気にしないファーッハッハッハ。

2007.10.4