雨は嫌いだ。
もともと少し癖のある髪が湿気でうねる。
外で思い切りテニスが出来ないし、
不規則な雨音が耳障りで、
おまけに空が暗いと何だか釣られて気分まで暗くなる。
だから携帯を開いて慣れた番号を呼び出した。
十数分後、玄関のドアを開けば傘をさしたあいつが立っている。
少し雨に濡れている、癖のない短い髪にタオルを掛けてやって
先程までボトルシップを作っていたというごつい手を引く。
こいつは断続的に響く雨音も、どんよりと灰色に淀む曇り空も嫌いじゃないらしい。
到底理解出来ないが、こいつらしいっちゃらしいのかもしれねえ。
二人で俺の部屋に戻ってドアを閉める。
うねる髪には 普段はつけないワックスでもつけりゃ問題は無い。
テニスが出来なければ本を読むなり、茶を淹れて寛ぐなりすればいい。
雨音も、隣の奴の小さいはずの声にかき消され。
気分も暗くはない。
だがやはり、雨は嫌いだ。
隣の奴が 窓を伝う雨粒ばかり見つめて、全くこっちを向こうとしないから。
かまってあげて、樺地くん。(笑)
2007.1.11