ガタンガタン、と一定のリズムで身体が揺れる。
あとどれくらいだろうか。


──今日は部活がない。
だから、その空いた時間でスポーツショップへ行こうと学校を出てそのまま電車に乗り込んだのだった。
…最近どうもラケットの調子が悪い、という馬鹿でかい後輩を連れて。

その用も案外あっさりと済み、今はまた電車に乗っている。
…しかし、何故こうも電車ってのは眠気を誘うんだろうか。
ここのところ用事が立て込んでいたから 知らぬ間に疲れが溜まっていたのかもしれない。
目を伏せて暫らくうつらうつらとしていると、それに気付いたのかあいつが声を掛けてきた。

自分にもたれていいから、少し眠ってください と。
いつもなら断るところなんだが、今日は眠気が勝ってしまった。
俺にしては素直に頷き、あいつの肩に頭を寄せる。


──こいつはまだ気付かないんだろうか。
俺がこいつに友情とか、後輩として気に入っているのとはまた別の好意を抱いていることに。
いつからそんな感情が芽生えたのか、よくは覚えていないが。…随分前からのような気もする。
さっさと伝えてしまいたい。

でも、もし断られたら?
今 こうして二人で居られる時間を壊したくない。
こいつはなるべく俺が傷付かない言葉を選ぶだろうし、俺が望めば今まで通り傍に居てもくれるだろう。
だが、俺はそれでも傷付くだろうし、傍に居ることが耐えられなくなるような気がする。
そんな別れ方は嫌だ。

だから、いつか俺たちが離れ離れになる時が来たら、その時は。
全てぶちまけてしまおう。きっと。

──あと、どれくらいだろうか。
















お互い片想いだと思い込んでるだけで、実はとっくの昔から両想いな感じで読んでいただければ。

2006.10.18